2023年 エストニア、ギリシャ、フィンランド、ラトビア、日本
たまたま認知してピンと来るものがあり、アマプラで配信が開始されていたので観てみた。
しかし、騙された。『アフリカン・カンフー・ナチス』的なエンターテイメント指向のバカ映画を期待していたのだが、場違いな時代と場所に当然のように中国拳法が登場するという表面的な類似性はあるものの本質的には芸術映画だった。私が
- 芸術映画を見慣れていないこと
- 想定されている視聴者と違って背景知識を全く欠くこと
- ソ連にも、ましてやソ連衛星国家にもごくごく一般的な知識しかないこと(昔々アネクドートの本は一冊読んだ記憶はあるが…)
- エストニアについてはバルト三国のうちの一国であること以外何も知らないこと(一応事前に最小限ググったところ、三国の中で一番北の国であり、主要言語はエストニア語であり、それは三国の主要言語中で唯一フィン・ウゴル系言語だと知った)
- キリスト教についてはごく一般的な知識しかないこと(一応ローマ教会と正教会が古代後期か中世前期に喧嘩別れした認識は持っている程度)
- カンフー映画はある程度の数を観ているが系統的には観ていないこと(仮に名作のパロディとかがあっても気付かないかも)
から、正直言って個々のシーンの意味は大半が理解できなかったし、作品全体のテーマもよく分からなかった。カンフーとロックは西側文化の象徴なのかもしれないとか、「佯狂者」は一時期の香港カンフー映画にお約束のように登場していた飲んだくれで小太りの老浮浪者(実は異端の拳法の達人で主人公をレベルアップしてくれる)のパロディなのかもしれないとか、そういうことをぼんやりと考えないでもないが結局その程度では個々のシーンや作品テーマの理解に結び付かなかった。
唯一分かったのはカンフーシーン(殺陣らしい殺陣は冒頭の殺戮シーンを除けばほとんど無いのだが)の丁寧さから、製作者たちがカンフー映画を愛しておりなおかつ有能であることくらいだろうか。あと、主人公役の人を始めとして役者さんたちも魅力的だった。
同じスタッフ・役者でエンターテイメント映画を撮って欲しい…