ライマン・フランク・ボーム『オズのグリンダ』感想

早川書房版。少年時代に一度くらい読んでいたかもしれないし、今回が初めてかもしれない。読み通しても結局どちらか判断が付かなかった。

感想としてはまあまあだった。オズの国の辺境の未発見種族、フラットヘッド族とスキーザー族の間に戦争が起こりつつあることを（例によって）「魔法の本」で認知したオズマ姫とドロシーが戦争を阻止しに行くというプロットはまあまあ悪くない。実際に書かれた細部もまあまあ悪くない。シリーズの掉尾を飾る作品としては盛り上がりに欠けはするが。

ところで『オズの消えた姫』で主人公らが軽く立ち寄る「誰もが自分を支配者だと思い込んでいる国」とか本作で描かれるフラットヘッド族の政体はなかなかに興味深く趣深い。何かの風刺なのだろうか。