ハヤカワ文庫版
1983年
かなり久しぶりに再読。恐らく中学生くらいの頃に一度読んだきりで、あまり感心もしなかった上に安価な古書に出会ったり図書館の開架で見かけたりすることもないまま今に至っていたのだが、今回は国会図書館デジタルコレクションで閲覧可能になっていることに気付いたため再読したものである。
やはりあまり面白くない。現代人の成人から見てあまりにも素朴、稚拙、幼稚であることはクラシック作品なので仕方がない(と言うよりむしろそれを承知で読むのがマナーとも言える)が、それでもなお面白くない。
青年科学者コンビが空中海賊と科学で勝負する第一部『空中海賊株式会社』はまあまあだったが、部を追うごとにオリジナリティと説得力を失って行き、第二部は凡庸、第三部は愚劣であるのみならずE・E・スミスの下手な模倣であり全くもって読むに堪えない。
ジョン・ウッド・キャンベル・ジュニアの悪い面がもろに表面化している。
あと、(個人的にこの画家さんが好きじゃないのもあるが)天野喜孝のイラストレーションが作品に絶望的に合っていないように思える。早川書房は何か勘違いしていたのではないか。クラシックってのはそういうことじゃないんだよなあ…。これを付けるくらいならハヤカワ・SF・シリーズのように表紙絵に抽象画だけを付けて、口絵・挿絵は無しにした方が良かった。