ライマン・フランク・ボーム『オズのエメラルドの都』感想

早川書房版。

凡庸で退屈だった。ノーム王が三つの邪悪な種族の力を借りてオズの国に大侵攻をかけ、オズ側が防衛するというプロットはシリーズ第一部の掉尾を飾るにふさわしいと言えなくもない。しかしながらオズ側の動きの大半がドロシー、ヘンリーおじさん、エムおばさんによるオズの国の辺境観光であり(*1)、侵略者への対応は「知恵者のかかしのひらめき」を主軸として数ページで解決してしまう。すなわち本来のプロットは茶番と化している。

オズ・シリーズを終わらせるための仕組みも説得力を欠く。

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*1 彼らが訪れる切り絵の町、ウサギの都、パンの町、トリコシ村、ダラダラ村も特に面白くもない。