Erich Dolezal
Festung Sonnensystem (1966)
訳:松谷健二
画:風間史朗
岩崎書店 SFこども図書館
1976年
おそらく小学生後期のころに2・3回読んだのが最初で最後であり、当時は本書の挿絵が幼稚に見えた(*1)ことと作品自体もあまりピンと来なかったことから一度も復習していなかった。今日はK・H・シェールつながりでドイツSFを猛烈に読みたくなっていたことから本書を思い出し、国会図書館デジタルコレクションにて閲覧可能になっていたため随分と久しぶりに再読してみたものである。
結果としては記憶していたより格段に良いSFだった。まさに王道をゆく宇宙SF・ファーストコンタクトSFであり、読者を惹きつける優れたストーリーテリングが展開されており、そして英語圏SFとはまた違う独特のアトモスフィアを有している。今にして察するにキーマンの名前がゴードン・ピム、他にもレン・ガイという登場人物もいることからポーの『ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語』をモチーフにしているのも面白いところだ。
要するに当時の私こそが未熟であり、本書の本質を全く見抜けていなかったのである。反省する。
訳者(松谷健二だ!)後書きによるとドレツァール(名前だけはドイツ(語圏)の主要SF作家の一人として耳にする)はオーストリアの人で、
少年むきのたのしい作品がいっぱいあります。日本で紹介されたのはこれがはじめてです。正確な科学知識と、あたたかいヒューマニズムにあふれ、どれも健康な小説です。この「異星人ノーチラス」は、ことにそうだと思います。(p.167)
との評である。まさに簡にして要を得ている。これまで極めて不当に軽視してしまっていたが、とても良い作家だと分かったのでもっと読みたい……。誰か翻訳してくれないものか。
追記:「SF世界の名作」版の邦題、『太陽系ようさい』は原題「Festung Sonnensystem」を逐語訳したもののようだ。当然それが正統的ではあるが、『異星人ノーチラス』もこれはこれで悪くない。
*1 今でもあまり納得は行っていないが、一種のアブストラクトと言おうかそういう画風なのであって画力が低いわけでは恐らくない、と理解はできる。