https://archive.org/details/daybreak2250ad00nort/
ノートンの代表作の一つだとかねてから聞いていたところ、Internet Archiveで閲覧できることに気づいたので読んでみた。
感想としては今一つ。着想や雰囲気は良く、細部の個々の要素にも良いところは多いのだが、それらが有機的に結合しておらず、結果的に二流の作品にしかなっていない。主人公を初め登場人物には魅力が薄く(*1)、プロットは平板でメリハリがなく(*2)意外性もなく(*3)、整合性が疑問(*4)で、そして結末の大団円があまりにもご都合主義で説得力を欠く(*5)。これが代表作の一つだとされているのは理解に苦しむ。
*1 例えば主人公。銀髪で暗視力の高いミュータントで、ミュータント猫とテレパシーでつながることができる――というなかなか贅沢で良い事ずくめな属性が設定されているが、それらがプロット上で本質的に活用されていない。また、当初から人間的にも技能的にも完成され過ぎており、成長の余地がないし実際成長が描かれない。ミュータント猫のルーラも作中で本質的な活躍をしない。
*2 “立て続けの雄弁は退屈である”――パスカル。
*3 例えば主人公の出自が明かされることを期待しながら読み進めていたのだが、特にそれが明かされることはなかった。あるいは彼らはなぜ「Star men」なのか。それが伏線であり終盤で驚きの展開が訪れることを期待していたのだが、特にそれが語られることはなかった。
*4 例えば、主人公の父親が発見しかけていた都市はなぜその後長年誰にも発見されずにいたのか。そして、なぜ長年誰も発見できなかった都市を主人公はあっさり発見できたのか。
*5 なぜ誰もが世界平和に目覚めてくれるのか。共通の敵との戦いによってフラタニティが形成されたという理屈で百歩譲ってそれは許すとして、なぜStar manたちが急にミュータントに寛容になってくれるのか。彼らが手の平を返す理由が全く分からなかった。