ホームページ「プロジェクト・サイラス・スミス」http://projcyrussmith.moto-nari.com/ のブログ部分です。メインのコンテンツ(翻訳したSF)自体はホームページ側にあります。ブログ側にはSFのレビューなどを投稿しています。 ※SF翻訳活動は、実用度の高い機械翻訳の台頭により意義を失ったと考えるため、2021年以降はほぼ休止しています(2021/4/14投稿を参照)。 ※ブログ内のエントリ間のハイパーリンクはまれに切れている場合がありえます。お手数ですが検索機能をご活用ください。
また、ポーランドのズラウスキーという作家が書いた〈勝利者〉という作品には、“百年目にしてジュール・ヴェルヌの夢がついに実現した”と、火薬のかわりに圧縮空気を利用した大砲、つまり空気銃の大きなやつ――で月に向かうのである。(p.60)の元となったと思われる部分を第II章で見つけた。以下の箇所(マレクが月の北極で修道士に発したセリフ)である。
確かに誤解を招きそうな文章である(原文からしてそうなのか波文英訳者の不手際なのか)が、前後の文脈から総合的に考えれば「culverin」は地球に据え付けられたジュール・ヴェルヌ的な大砲ではなく、主人公が乗ってきた宇宙機――ロケット機を逆さまの大砲として比喩的に表現したのか?――を指すと解釈すべきではなかろうか。つまり『勝利者(仮)』においてジュール・ヴェルヌ的大砲で宇宙機を月に飛ばしたという記述は無く(記述が無いだけで実はそうである可能性は否定し切れないが、月から単体で離陸できるのであれば地球からも単体で離陸できたと考えるのが自然だし、700年も経てばヴェルヌ方式からは卒業できているのが自然に思える)、圧縮空気云々は飛翔体の内部が与圧されていたという意味に過ぎないと解釈した方が筋が通るように思える。また、ヴェルヌの夢が百年越しに実現云々は『銀球にて(仮)』の冒頭部にあった言葉であることから、野田昌宏が二作品を混同したと考えるとなおさら筋が通るように思える。……自分の功績では決してないが、プロ中のプロの誤謬(かもしれない)をアマチュアが解明できる(できたのかもしれない)とはITの進歩の賜物であり、時代を感じる。
He grabbed his hand like a child and pulled him toward the vehicle. “Look, first of all I fell here, not on some airless desert which they had to struggle through. Was not the shot well aimed? Didn’t I fall right in the middle of the polar valley among your houses when I did not know that you were expecting me here?... Look, the missile is standing still wrapped in its steel shell, hollowed out as if in a cannon! Yes, venerable shaman! I arrived here in my own culverin, which filled itself with compressed air, falling down. Do you see how it is standing perfectly situated, at the same angle, as it fell...? There are special legs underneath which sank into the ground, a beautiful carriage! It is enough to shut the door and press the button there and - I'm going back to Earth. The same way, do you understand? I am going back to Earth mathematically the same way I came!”