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プロジェクト・サイラス・スミスBLOG

ホームページ「プロジェクト・サイラス・スミス」http://projcyrussmith.moto-nari.com/ のブログ部分です。メインのコンテンツ(翻訳したSF)自体はホームページ側にあります。ブログ側にはSFのレビューなどを投稿しています。 ※SF翻訳活動は、実用度の高い機械翻訳の台頭により意義を失ったと考えるため、2021年以降はほぼ休止しています(2021/4/14投稿を参照)。 ※ブログ内のエントリ間のハイパーリンクはまれに切れている場合がありえます。お手数ですが検索機能をご活用ください。

グレゴリイ・カーン『ジャーレンの秘宝』感想

キャプテン・ケネディ・シリーズ第5巻。蔵書より。4巻を初読したのを機に再読。サラトフが市場で「右旋性の結晶のアクセサリー」を見つけるシーンなど、読んだ記憶が蘇ってくる個所が序盤にはちょくちょくあったが、中盤以降は全く覚えがなかった。どうやら何らかの事情で途中までしか読んでいなかったようだ。ともかく今回は普通に通読した。

結果、まあつまらなくはないが、これまでの巻の中では一番薄味と言わざるを得ない。基本的にジャーレンの王宮が舞台になるため動きが少ないし、前巻に引き続き鳥人シャンボディア人が登場するがやはり悪役としての魅力に欠けるし、相変わらず超古代銀河文明ゼルディアナの影がちらつくもののその謎の解明に少しでも近づいたようには見えない上に安易な魔法的アイテムとして使われているようにしか見えず白ける。

どうもこのシリーズは1~5巻を読む限りでは右肩下がりと思えてしまう。

それにしても本扉(というのかな)に書かれている梗概、「シリーズ堂々完結」じゃないよ。1巻の訳者後書きに現時点で13巻まで刊行されている旨が書かれているだろうが。一度着手したシリーズは最後まで面倒を見るべきだし、百歩譲って打ち切るにしても嘘や美化はせず、事情を明らかにすべきだ。つまり
・単純に「ここまでの売れ行きが悪いので打ち切ります。続きの良し悪しは知りません」なのか
・「ここまでの売れ行きが悪いので遺憾ながら打ち切りますが、実はこの先は面白さがV字回復するので語学力に自信のある人は自分で読んでください」なのか
・「ここまでの売れ行きが悪いし、この先を読んでみたら尚更売れるとは思えない低調ぶりなので打ち切ります」なのか
はっきりして欲しい。それが一般人にはない情報収集力と語学力を有する出版社と翻訳者の義務だと思う。早川書房でしばしば見られるこういうやり口を強く非難するものである。
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