Astounding Stories(March 1937) Kindle版にて。本作に着目した理由は(Amazonの購入履歴を再確認したところもう3年ほども前のことなので)もう忘れたが、おそらく『永遠に生きる男』のR・デウィット・ミラーにもう1作だけ邦訳作品『ピラミッドの内部で』があることを認知したがそれが載っている本が元々社宇宙科学小説シリーズ版の『時間と空間の冒険』であり入手困難だと判断し、代わりに原語のテキストを安値で居ながらにして購入する判断をしたのではないかと推察される。
というわけで3年ほど積ん読していたところ、何となく読んでみるに至った。
内容梗概:現代のユカタン半島の奥地で、二人の学者が未知のピラミッドを探検する。探検しながら、老学者が若い方の学者に自説――古代、地球には未知の惑星からの来訪者があり、ピラミッド等のオーパーツはその産物である――を開陳する。
感想:悪くはなかった。
……と、それだけなら何も特筆すべきことがないのでわざわざブログにその旨を投稿しないところなのだが、ここからが本題である。何があったのかと言うと、本作を読んでいると稀に見る強力な既視感に見舞われたのである。その理由を考察していく。
仮説1:忘れていただけで、実は自分は元々社版『時間と空間の冒険』を昔々に読んだことがあるので既視感があって当然である。
仮説2:忘れていただけで、実は自分はこのKindle書籍を過去3年間のいつかに読んだことがあるので既視感があって当然である。
仮説3:本作で語られるフィクショナルな説は、今日巷にあふれる妄説(疑似科学、陰謀論、古代宇宙飛行士説)の大元であるため既視感があって当然である。
※実際、以前どこかで読んだその手の書籍(もちろん本気で読んでいるわけではないです。あくまでバカにする目的で読んでいます)中で、本作中の文言そのもの(ほとんど剽窃に近い)に出会ったことがあるような気もするので。
仮説4:その種の妄説は人類に共通する集合的無意識なストーリーなので、人類の一員である私にとって既視感があって当然である。
私としては仮説3を推したい。自分でやるのは面倒なので誰か代わりに研究して論文にして欲しい。タイトルは『疑似科学・陰謀論における古典的SF小説の影響~古代宇宙飛行士説に対するWithin the Pyramidの影響を中心に』で。
追記:みらい翻訳に本作のテキストを半ページずつくらい投げていたら、数回目(数十回目?)で「そろそろコピーして良い文字数の限界です」的な感じでAmazon Kindleに警告されてしまった。そういう仕様だったのか。
まあ、確かにAmazon側からすればそうかもしれないが、買った側から言わせてもらえば非母語のテキストに対して何らかの処置を加えるためにまずコピーすることは必然であり必須であるため、その権利を阻害されるのは由々しい問題である。なおさらKindleが嫌いになった。