蔵書より、久しぶり再読……のつもりが、例によって全く内容に覚えが無かった。どうやら例によって購入はしたものの手違いにより読まずに死蔵していた、または序盤で飽きてそれっきりになっていたようである。ハヤカワSFシリーズの有名タイトルに対して長年の間この仕打ち、大いに反省する。
というわけで感想だが、前半は良かった。核実験による地割れに海水が吸い込まれて地球上から数週間で水が無くなるというアイディアは単純素朴ながら迫真性がある。ジャーナリストを主人公にして話を進めるのも成功している(そういえば『アイソトープ・マン』も記者が主人公だな)。破滅ものの教科書と言っても過言ではない、そつのない出来ばえである。
しかし後半が弱い。作者のやる気が減退してきたのか締め切りが迫っていたのか、それとも作者の能力不足が露呈してきたのか、どうも面白くない。破綻気味でもあり、結局テーマがはっきりしない。また福島正実が解説で指摘しているように科学考証の弱さも気になってくる――主人公が特に科学には明るくないし結局プロジェクトの中枢にまでは食い込めなかったことが原因で、前半ではプラスに働いていた要素が後半ではそっくりそのままマイナスになっているように思える。
総合的に見れば二流の作品であり、文庫化されずに終わったのもやむを得ないと言えよう。とは言ってもあまり崇高な傑作やら問題作やらばかりを刊行されても肩が凝るので、このクラスの作品はもっと積極的に翻訳してくれても良いのだが。作者についても全く同じ話で、このクラスの作家はもっとフィーチャーされても良いと思うのだが、チャールズ・エリック・メインの長編は(本作を最後として)結局たった三作しか翻訳されないまま現在に至っているのが惜しまれる。