どこかで言及されているのを見てピンと来るところがあったので読んでみた。
期待に違わず、非常に示唆に富む。旧軍という存在については従軍した無数の人々――将官から兵まで、また職業軍人から徴兵まで――により、あるいは従軍しなかった無数の人々によりそれこそ星の数ほどの本が書かれており、多くは(当然ながら大なり小なり)批判的である。しかし大半の書籍において批判は表層的で一面的なものに留まっており、問題の本質に迫っているとは言い難かった。それが本書は、「一下級将校の見た」という謙虚な枕詞が付いているにも関わらずずばり問題の核心を突いている。優れた洞察力と、洞察した結果を他人に分かるよう言語化する文章力という車輪の両輪が然るべく機能した結果であろう。このような書物を私は寡聞にして(いや、実は本当に寡聞なのだが)他に知らない(*1)。
そして、現代日本の官公庁あるいは大組織(ひょっとすると中小組織も)がいまだに「事大主義」「員数主義」「要領」「私物命令」「"組織の名誉”主義」…その他無数の病巣に憑りつかれたままであることを悟った。救いようがない。
*1 ただし、切り口が全く異なるので比較できないが「小失敗」シリーズと『日本軍とドイツ軍 どうしたら勝てたのか、どうやっても負けたのか?』は優れた書物だと思う。