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プロジェクト・サイラス・スミスBLOG

ホームページ「プロジェクト・サイラス・スミス」http://projcyrussmith.moto-nari.com/ のブログ部分です。メインのコンテンツ(翻訳したSF)自体はホームページ側にあります。ブログ側にはSFのレビューなどを投稿しています。 ※SF翻訳活動は、実用度の高い機械翻訳の台頭により意義を失ったと考えるため、2021年以降はほぼ休止しています(2021/4/14投稿を参照)。 ※ブログ内のエントリ間のハイパーリンクはまれに切れている場合がありえます。お手数ですが検索機能をご活用ください。

アルフレッド・ベスター『破壊された男』感想

お前は何十年SF者をやっているのかと問い質されたら一言の弁明もできないが、実は『破壊された男』をちゃんと読むのは初めてである。『分解された男』は持っているのだが、精読したのは序盤だけで、残りは流し読みした程度で放置したまま現在に至っていた。

それが先日、某市に出張した際、1・2時間ほど時間を潰す必要が生じたため(市民ではないけれど失礼して)図書館に入ってみたところ、『破壊された男』の新装版が目に留まったため読んでみたものである。

セッティングの問題か、あるいは訳文の違いからか(いや、沼沢洽治は結構好きな翻訳者なのだが)、予想外に引き込まれ、一挙に読み通してしまった。

面白い。

テーマは意義深いし、顕著な勢いがあるし、表現が先鋭的だし(本当は原文で読まないと真価は分からないのだろうが)、『虎よ、虎よ!』でも描かれるベスター流の未来社会――何と言うか、小ぎれいさとは対極にある――がいい味を出している。確かに第一回ヒューゴー賞受賞作である=その時点でマスターピース級作品だと評価されたことは大いに肯ける。


2021/03/29追記:某市にふるさと納税した。これで貸し借り無しということにしてもらおう。
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