偶然セールで見かけたのを機に購入。読んでみた結果、驚くべきことに気づいた。本書を読むのは初めてだったのである。お前は何十年SF者をやっているのかと小一時間問い詰められたら返す言葉もない(No.1は読んでいるし、元々社版も読んでいるし、本巻の収録作品の約半数も別の本で読んではいるが言い訳としては弱い。最もダメなのが、過去に本書を読んだことがあるかないかを記憶していなかったことだ)。
一気に読み切った。優れたアンソロジーだった。まさに黄金時代前期を代表する傑作集と言える。ハヤカワ版No.3が未刊に終わったのが惜しまれる(売れなかったのだろうか?)。
初読と思われるものは下記の5編。
ハリイ・ベイツ『サイズの問題』
アンソニイ・バウチャー『Q・U・R』
ロス・ロクリン『死』
ロバート・ムーア・ウィリアムズ『ロボット還る』※はっきり記憶はしていないが芳賀SFシリーズの『ロボット文明』を読んでいる可能性があり、そうだとすれば本作も読んでいた可能性がある。
ディ・キャンプ『ブルー・ジラフ』
いずれも
・日本には紹介がほとんど進まないまま現代ではほぼ限りなく忘れられている作家の数少ない邦訳である点が良い。
・1930年代・40年代のSFの青々しく力強い空気が感じられるのが良い。
・当時としては工夫を凝らしているのが評価できる。
・しかし、擦れた現代人の目で総合的に見ると「古典」と呼ぶには少々弱いと言わざるを得ない(『ロボット還る』だけは恐ろしく不器用なのを度外視すれば古典と認めても良いだろうか)。1946年の時点ではおそらく『夜来たる』、『存在の環』、『走れ、走路』あたりと同格の輝きを放っていたのだろうが歳月の経過が大きな差異をもたらしたのだ。
ともかく、久しぶりに良い読書ができた。
調べてみるとNo.3の収録作品も過半数が別の本で読めるし実際読んでいることが分かり、少し安心した。あとは未訳のもの
"Time-Travel Happens!" A・M・フィリップス
"Flight Into Darkness" ウェッブ・マーロウ
"He Who Shrank" ヘンリー・ハース
"Correspondence Course" レイモンド・F・ジョーンズ
"Brain" S・ファウラー・ライト
を何とかして(PGやIAを活用して)攻略していくことを今後の課題としたい。