久しぶりに読みたくなったのだが一身上の都合により手元に無かったので図書館で借りてきた。
やはり、紛うことなき傑作。前半は火星ものとして、また問題の発生と解決を主眼にした正統派ハード・サイエンス・フィクションとして秀逸だし、後半はファースト・コンタクトものとして実に考えさせられる。永遠にオールタイム・ベストとして残り続けるであろう。若干尻すぼみなのが玉に瑕だが……
これを機にちょっと調べてみたところ、やはりレックス・ゴードンは(レックス・ゴードン名義では)かなりの寡作家で知名性も低いようだ。英語版Wikipediaの記事も本文は数行しかない。『未来を変えた時間』も存在は知っている――と言うか読んだことがある――と言うか実は持っている――のだが、邦訳があるのは本当にこれしかないようだ。まさに本作だけが売りの一発屋と言えよう。
追記:実はハヤカワ・ファンタジイ版は一度も読んだことがない。井上一夫訳ならそんな変な出来ってことはないだろうし、そもそもこのクラスの作品がなぜ文庫化されなかったのだろう。今度なんとかして読み比べてみよう。
追記2:これまで目には入れども頭に入って来ていなかったのだが、表紙にいわく「謎の作家R・ゴードンが芥川賞作家の新訳で復活。」とのこと。つまり情報が少ないし語られることがないのは知名性が低いからではなく、謎の作家だからと考えるべきかもしれない。だとすればますますレックス・ゴードンに興味が湧く。ISFDBやWikipedia英語版を見ると、本書の巻末解説では触れられていない作品名も紹介されている。読みたい。誰か翻訳して出版してください……もしくは原文をみらい翻訳を掛けやすい状態にして売ってください……。
追記3:以前予告されていた国立国会図書館の「個人向けデジタル化資料送信サービス」がローンチされていたことにようやく気付いた! ’(ひいき目に見ても10年は遅かったという致命的欠陥を除けば)素晴らしい! 早川書房版「宇宙人フライデイ」も読めるではないか!! うおおおおお! こいつを皮切りに読みまくるぞ!