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プロジェクト・サイラス・スミスBLOG

ホームページ「プロジェクト・サイラス・スミス」http://projcyrussmith.moto-nari.com/ のブログ部分です。メインのコンテンツ(翻訳したSF)自体はホームページ側にあります。ブログ側にはSFのレビューなどを投稿しています。 ※SF翻訳活動は、実用度の高い機械翻訳の台頭により意義を失ったと考えるため、2021年以降はほぼ休止しています(2021/4/14投稿を参照)。 ※ブログ内のエントリ間のハイパーリンクはまれに切れている場合がありえます。お手数ですが検索機能をご活用ください。

ホールデン『光る雪の恐怖』感想

"Snow Fury" (1955) by Richard C. Holden
岩崎書店 SF世界の名作(24)
訳 内田庶
画 井上洋介

国会図書館デジタルコレクションにて久しぶりに再読。大学生時代に《冒険ファンタジー名作選》版を読んでいなければ――おそらく読んでいないのだが――小学生時代ぶりということになる。

なかなか面白い。スタンダードでオーソドックスな怪物ものとして評価できる。訳者あとがきによるとホールデンは「SFよりも、ミステリーをとくいにしているひと」であり、訳者の見解(*1)の全くの繰り返しになってしまうがミステリ畑の人の書いたSFに特有のピリリとした味が良い効果を上げている良作である。SFマガジンの近刊予告欄(ハヤカワ・SF・シリーズの巻末の近刊予告ページだったかも?)で本作と思われる近刊が予告されていた記憶があるが、実現しなかったのが惜しまれる(あるいは因果関係が逆で、その廃物利用が本書なのだろうか)。

ところで何十年ぶりで読んで、井上洋介という画家の挿絵の良さに気付いた。この人の絵に限らずSF世界の名作/SF子ども図書館のイラストレーションについて、当時は子供心に「子供だましの稚拙な絵」だと思っていたのだが私が間違っていた。当時は武部本一郎、金森達、依光隆といった画家の端正な具象画ばかりを好んでいたのだが了見が狭かったと言わざるを得ない。実に味のあるデフォルメ画だ。


*1 いわく「この作品でも、ミステリー小説のおもしろさが、じゅうぶん、生かされていると思います。」。
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