著者:ポール・ベルナ (Paul Berna)
原著:Le continent du ciel (1955)
訳者:那須辰造
刊行:講談社 少年少女世界科学名作全集(20) 1962年
子供のころから判官びいきの性癖のため、私は非英語圏SFには目が無い。しかし本書については(一覧表などで以前から目にはして存在は知っていたが)今の今までフランス作品だとは気づかずにいた。気づいたので早速読んでみたものである。国立国会図書館デジタルコレクションの「国立国会図書館内/図書館・個人送信」サービスは素晴らしい。
で感想としては、特に好みではなかったがスタンダードで堅実にまとまった無難なジュブナイルSFではあると思う。また英米作品とは違う、フランスらしい独特の空気感があるのは良い点だと感じる。
良くない点としては、戦後のSFらしからぬ設定の古さ(月に呼吸可能な大気があったり)、作中世界に関する若干の説明不足が目に付く。ただし後者については、本書が二部作の二作目らしい(ISFDBによる)ことから、作品自体の問題と言うより日本の出版社側の問題とも言えよう。
同じ著者の作品としては、非SFではあるが『オルリー空港22時30分』、『尾行された少年たち』、『首なしうま(首なし馬)』という3冊のジュブナイル小説が邦訳されているようであり(いずれもその出版社の本の巻末に載っている既刊リストあたりで、あるいは小・中学校の図書室あたりで現物の背表紙を見た記憶あり)、興味が再燃したのでそのうち読んでみたい。