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プロジェクト・サイラス・スミスBLOG

ホームページ「プロジェクト・サイラス・スミス」http://projcyrussmith.moto-nari.com/ のブログ部分です。メインのコンテンツ(翻訳したSF)自体はホームページ側にあります。ブログ側にはSFのレビューなどを投稿しています。 ※SF翻訳活動は、実用度の高い機械翻訳の台頭により意義を失ったと考えるため、2021年以降はほぼ休止しています(2021/4/14投稿を参照)。 ※ブログ内のエントリ間のハイパーリンクはまれに切れている場合がありえます。お手数ですが検索機能をご活用ください。

ジュール・ヴェルヌ『ラ・ペルーズの大航海』感想

原題:La Pérouse et les navigateurs français (1879)
翻訳:榊原晃三
出版社:NTT出版
レーベル:気球の本
出版年:1997年1月22年初版第1刷

刊行直後くらいから存在は認知していたが題材に興味を惹かれず、長らく放置していた。今回はホームページを更新しているうちに書誌学的な関心を抱き、たまたま最寄りの図書館に所蔵されていたことから読むに至った。

大航海時代の航海者と言えば、時代前半のスペインやポルトガルの航海者たち、あるいは時代後半のオランダやイギリスの航海者たちが有名で、フランスの航海者は見過ごされがちである。そういう意味で本書はなかなか興味深く読めた。

しかしこの種のドキュメンタリーとして出来はあまり良くない。ジュール・ヴェルヌの悪い面が見事に具現化していると言えばお分かりいただけるだろうか。ヴェルヌの小説では、事実を羅列するだけの無味乾燥で魂の抜けた章がしばしば見られるが、それが丸々一冊分続く感じなのである。ジュール・ヴェルヌのネームバリューが無ければ絶対に百年後の日本で翻訳刊行されることは無かっただろう。

ともあれ、長年の懸案事項を消化できたのは良かった。
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