面白かった。
西暦1000年ごろ、ヴァイキングの大西洋横断によって、遂に人類は地球一周を成し遂げたと言える(SF読者的にはハリー・ハリスンの『テクニカラー・タイムマシン』案件ですな)。それを本書はだいたいこのように表現している。「各地域のローカルな交易ネットワークが相互に接続され、グローバリゼーションが到来した」と。達見だ。
本書によると、先コロンブス時代の両アメリカ大陸にはすでに全大陸的交易ネットワークができていたという。そうだったのか。面白い。
また、アフリカ・中東・アジア・オセアニア並びにそれらのうち隣接する相互間についても、ヨーロッパ人到来前にすでに交易ネットワークが成立しており、大航海時代のヨーロッパ人はそれを再利用・効率化したに過ぎないという主張も、ヨーロッパ中心史観に毒されていた(?)私としてはなかなかエキサイティングに感じた。
良質のSFを読んだのと同質のセンス・オブ・ワンダーを感じられた。
こういう方向性の良書を読むと、本来そこまで好きではないAlternate history(*1)もののSFがものすごく読みたくなる…… とりあえず久しぶりに『タイム・パトロール』でも読もうか。
*1 「歴史改変SF」とかいう訳語のセンスの無さは異常。恥ずかしくてとても使えない。昔はそんなタームは誰も使っておらず、「時間SF」や「次元SF」と呼んでいた気がする(確かにそれでは言葉の意味が広すぎて問題であるわけだが…)。いつの間にこんなタームが市民権を得てしまったのだろう。