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プロジェクト・サイラス・スミスBLOG

ホームページ「プロジェクト・サイラス・スミス」http://projcyrussmith.moto-nari.com/ のブログ部分です。メインのコンテンツ(翻訳したSF)自体はホームページ側にあります。ブログ側にはSFのレビューなどを投稿しています。 ※SF翻訳活動は、実用度の高い機械翻訳の台頭により意義を失ったと考えるため、2021年以降はほぼ休止しています(2021/4/14投稿を参照)。 ※ブログ内のエントリ間のハイパーリンクはまれに切れている場合がありえます。お手数ですが検索機能をご活用ください。

ジャック・ロンドン『南海物語』感想

実に興味深く読めた。ロバート・ルイス・スティーブンソンの一連の”ポリネシアもの”と好一対を成す優れた作品群と言えるだろう。ジャック・ロンドンが1907年から実際に南太平洋を周航した(らしい。本書の訳者後書きで初めて知った。)経験を元にしており、実にジャック・ロンドンらしい骨太で迫真性のある作品群に仕上がっている。

ロンドンの視点が(そう言えばスティーブンソンの視点も)割合に中立的であることも興味深い。西欧的価値観が必ずしも善とはされていないし、メラネシア人が”高貴な野蛮人”として美化されているわけでもない。

もちろん“楽しく”はない。ポリネシアとメラネシア、スティーブンソンとロンドン、19世紀と20世紀の違いが一切の甘えを許してはくれない。ぬるい読み物を主食にしている、頭がふやけた私にとってはきついものがある……
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