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そういえば主人公のタール・キャボットもジョン・カーターやカースン・ネーピアといった先達とは少しばかり違う。体力に自信はあるが、頭はさしてよくはなく、オクスフォード大学を出てはいるが、アメリカの大学に歴史学講師の職は得たものの、ルネサンスと産業革命の区別がつく程度の歴史知識しかないという、はなはだいいかげんな男である。ゴルにおける活躍も決して正義感から発したものではなく、いわば周囲の情勢に流されて仕方なくそうしているようなところがある。むしろこれはヒロイック・ファンタジーというより、アンチ・ヒロイック・ファンタジーである。そのあたりが古典的な形式に盛り込まれた新味といってよいかもしれない。(p.277)(傍点は太字で表現)