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プロジェクト・サイラス・スミスBLOG

ホームページ「プロジェクト・サイラス・スミス」http://projcyrussmith.moto-nari.com/ のブログ部分です。メインのコンテンツ(翻訳したSF)自体はホームページ側にあります。ブログ側にはSFのレビューなどを投稿しています。 ※SF翻訳活動は、実用度の高い機械翻訳の台頭により意義を失ったと考えるため、2021年以降はほぼ休止しています(2021/4/14投稿を参照)。 ※ブログ内のエントリ間のハイパーリンクはまれに切れている場合がありえます。お手数ですが検索機能をご活用ください。

ハインリッヒ・ハウザー『巨人頭脳』感想

初期の創元推理文庫における珍しいドイツSF。おそらく前世紀から積読してあったところ、ゴールデンウィークを活用してようやく読むに至った。

まあまあの水準作だった。冷戦を背景にアメリカで開発された超大型・超高性能の電子頭脳(単なるコンピュータではなく人間の脳をモデルにしているという意味で、まさしく電子頭脳と言えよう)が自我に目覚め、愚かなる人類を支配してやろうと目論む。たまたまそれに最初に気づいたのは、電子頭脳プロジェクトにおいては外様で新参者の昆虫学者(主人公)。苦労人・常識人であり人間性に富んだ主人公と冷徹で傲慢な電子頭脳の対決が描かれる。言ってみれば「巨大電子頭脳との対決もの」のモデル的作品である。

ぜいたくを言うならばせっかくの珍しいドイツ作品なのにドイツらしいフレーバーが足りないし、テーマ的にももう一ひねり欲しかったところである。しかし訳者解説によるとアメリカが舞台なのも戦後ドイツSFの特徴の一つであり、また作者はSFプロパーの人ではないとのことであり、まあこれはこれで悪くはなかった。
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