蔵書より。数年ぶりーーひょっとすると刊行直後の2005年以来なので18年ぶりーーに再読。
実に良い。当時、エドモンド・ハミルトンなので反射的に購入したものだが、たぶん内容的にはあまり得心が行っていなかった。今にして思うと自らの未熟と不明が原因だったと言わざるを得ない。
『蛇の女神』…メリットタイプの小品。初期作品だと思っていたが1948年の作らしい。唯一、今回の再読で得心が行かなかった作品。
『眠れる人の島』…これは逆に以前から得心が行っていた唯一の作品。やはり面白い。表題作たるにふさわしい。メタフィクションの傑作である。
『神々の黄昏』…北欧神話を題材にした純ファンタジーに近いSFで、この力強さ、生き生きとした空気はポール・アンダースンの北欧ものにも劣らない。そして1つまみのSF要素が作品の価値を更に高めている。ハミルトンにこういうものが書けるとは知らなかった(これまでは真価が分かっていないどころか一度として最後まで読んでいなかったと思われる)。
『邪眼の家』…現代アメリカを舞台にした、純怪奇小説。初期作品(1936年)らしい。特に好きなタイプの作品ではないが、そのコンセプトの範囲内で充分によく書けていることは理解できた。
『生命の湖』…秘境冒険もの。教科書どおりそつのなさに加えて、個性豊かな仲間たちのキャラクターが良い。そしてモチーフが興味深い。不死の水は『脅威!不死密売団』と、「守護者たち」は『虚空の遺産』のローン人や『輝く星々のかなたへ!』の「見張り」との共通性が見られる。