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プロジェクト・サイラス・スミスBLOG

ホームページ「プロジェクト・サイラス・スミス」http://projcyrussmith.moto-nari.com/ のブログ部分です。メインのコンテンツ(翻訳したSF)自体はホームページ側にあります。ブログ側にはSFのレビューなどを投稿しています。 ※SF翻訳活動は、実用度の高い機械翻訳の台頭により意義を失ったと考えるため、2021年以降はほぼ休止しています(2021/4/14投稿を参照)。 ※ブログ内のエントリ間のハイパーリンクはまれに切れている場合がありえます。お手数ですが検索機能をご活用ください。

ハミルトン『魔法の月の血闘』感想

蔵書より。久しぶりに再読。

記憶していた以上に面白かった。キャプテン・フューチャー後期を代表する秀作と言えるだろう。シリーズ前半のいくつかの作品(特に『暗黒星大接近!』)を題材にしたメタ的な構造がうまく機能しており、ファンにとっては嬉しい造りになっている。細かいガジェットも品質の良いものが惜しげもなく多数盛り込まれており、作品を高める一助となっている。

それはそうと、(本巻に限らないのだが)CFシリーズの世界は地球人が覇権を握っているようだと今さらながら認識した。例えば太陽系政府の首都は地球のニューヨークにあるし、太陽系政府主席は作中で登場した二代とも地球人(というかアングロ・サクソン)だし、地球以外の惑星の高官も現地人でなく地球人が占めていることがけっこう多い。水・金・火はともかく、木星以遠は外側ほど「僻地」あるいは「蛮地」であり現地人の地位は低いようだ。各巻の騒動も、他惑星を支配し搾取し蔑視する地球人の強欲さ・傲慢さが遠因になっている場合が多い。

これは、この世界においてデネブ人の古代文明が崩壊後、最初に宇宙飛行レベルまで文明を再興させたのが地球であることが理由なわけだが、そのまた理由をメタ的に読むと二つの可能性が見いだせる。
1.アメリカ人であるハミルトンには地球人(というか白人)以外が主導権を握る構図が想像できなかったので必然的にこうなった。
2.これは西欧・白人による支配を風刺したものである。

どちらだろうか? 私は後者の立場を取りたい。
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