題名:ナイトランド
原題:The Night Land (1912)
著者:ウィリアム・ホープ・ホジスン
訳者:荒俣宏
出版:原書房(2002年)
これも急に読みたくなって久しぶりに読んでみた。これも考えてみると少年時代に1・2回、学生時代に1・2回読んだきりだったかもしれない。
今回は、原書房から新版が出ていることに気づいたので妖精文庫バージョンではなくこちらを読んだ。原書房グッドジョブ。隅に置けない出版社だ。
で、感想としては、記憶していたとおり恐ろしく冗漫ではあるが(※)、記憶していたとおりこの独特の香気とアイディアの先見性は素晴らしい。ホジスンが夭逝してしまったのが惜しまれる。そうでなければSF界にどれだけの貢献をしてくれただろうか。
※訳者解説で、これでも短縮版であることを知った。荒俣宏いわく「事実、訳者としても『ナイトランド』を翻訳することは苦痛以外のなにものでもなかった。」(p.548)とのことである。筋金入りの好事家でありプロの翻訳者である荒俣宏ですらそう思うのか! しかし、「しかし、『ナイトランド』はそうした困難性をもつがゆえに、どうしても日本語に移しておかなければいけない作品でもある。」(p.549)という論説には頭が下がる。何というプロ根性か。