ちょっと昔SFマガジンで連載されていたのを部分的に読んでいた作品。急に読みたくなったので、ちょっと国会図書館(*1)に寄って読んできた。とりあえず電子化されているところまで読んだ。
・1999年5月号 第1回 火星の長い秋
・1999年7月号 第2回 土龍狩り 前篇
・1999年9月号 第3回 土龍狩り 後篇
・1999年11月号 第4回 火星動物園
なかなか良い。ほぼ期待通りの味わい深い火星ものである。編集部の「『火星人先史』、『火星甲殻団』の川又千秋が三度火星に帰還!」みたいな熱い煽りも微笑ましくて良い(*3)(*4)。
欠点としては、無理して和風にしている感がちょっと痛々しく思える(今回は12回中の4回までしか読んでいないし昔の記憶もほぼ完全に揮発しているので、そこが実は伏線だとかいうことであれば申し訳ない)。
ともあれ、起承転結のうち辛うじて承のあたりに差し掛かったに過ぎないので、続きが楽しみだ。
*1 三流の図書館だとそもそもSFマガジンを置いていないのは論外として、二流の図書館でもたった二十数年前のSFマガジンを残していなくて驚いた。そういうのを取っておくのが図書館の主旨じゃないのか? 図書館と貸本屋を混同していやしまいか?(*2)
*2 SFマガジンを購読していない不心得者が一人前の言動をするなと言われればそれまでだが…
*3 今にして思うとSFマガジンに魅力――魂――勢い――が残っていた最後の時代だったかもしれない。
*4 しかし、ここまで推しておきながら単行本を出さない早川書房編集部に対する不信感がさらに高まったと言わざるを得ない。