スペース・オペラ名作選II。
どえらく久しぶりに再読。おそらく小学生末期か中学生のころに一・二度だけ図書館で読んではいたのだが当時は未熟のためあまりピンと来なかった。そのためその後の古本屋行脚でも特に力を入れて探すこともなく、長年の間再読することがなかったのである。今回はそれを反省して入手を図り、ン十年ぶりに読んでみたものである。(『太陽系無宿』の方はピンと来る作品が多かったこととたまたま良い出物に巡り合ったので所有しておりたまに復習している。)
結果、とても楽しく読めた。今にして思うと(子供のころは作品に作者がいるという認識が薄かった)、収録作品の作者がここ以外では全く見たことのない人物ばかりであることも良い(*1)。実に志のあるアンソロジーだ。編訳者あとがきでは第三巻の発行が匂わされているが、実現しなかったのが惜しまれる(*2)。近年では創元から一・二巻の合本版が復刻されているので未読な人はぜひ読んでみてほしい。
以下、各話の感想。
●ジョン&ドロシー・ド・クーシー『夜は千の眼を持つ』(1949)
昔は全く理解が及んでいなかったが、これが実に良い。独特の叙情性が群を抜いている。スペース・オペラの多様性の一端を示す秀作である。野田昌宏も述べている通り結末には若干の疑問符が付くが…
●フレデリック・A・カムマーJr『サルガッソー小惑星』(1941)
これは全く記憶に無かったので新たな気持ちで読めた。で、普通に読めたが、内容は良くも悪くも普通。あえて言えばサルガッソー小惑星に歴代流れ着いた人々が独特の文化を有する野蛮人に成り果てているという設定が『虎よ、虎よ』のそれの先駆を思わせ興味深い。
●ジェイムズ・マッコネル『お祖母ちゃんと宇宙海賊』(1954)
表題作にも関わらず特に面白い印象を持っていなかったが、認識を改めた。表題作にふさわしいユーモアSFの秀作である。もっとこういうのが読みたいなあ。
●ヘンリー・ハス『宇宙船上の決闘』(1941)
これもほとんど記憶に無かったので新たな気持ちで読めた。アイディアにこれといった新規性は無いが、ピリピリしたアトモスフィアは優れている。
●ピーター・ハミルトン『隕石製造団の秘密』(1943)
これもほとんど記憶に無かったので新たな気持ちで読めた。これも普通に読めるリーダビリティはあるし「宇宙の掟」のような小ネタに光るものはあるが、総合的に見て凡庸と思える。クラシックとしての価値は無くもないだろうが…
*1 私が辛うじて存在を知っていたのはヘンリー・ハス(Henry Hasse)のみ。
*2 さらに言うとこの「スペース・オペラ名作選」は、「〈テーマ・シリーズ〉」の一環であるようだ。しかし「〈テーマ・シリーズ〉」は結局「スペース・オペラ名作選」を二冊出しただけで終わってしまったのが惜しまれる。