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プロジェクト・サイラス・スミスBLOG

ホームページ「プロジェクト・サイラス・スミス」http://projcyrussmith.moto-nari.com/ のブログ部分です。メインのコンテンツ(翻訳したSF)自体はホームページ側にあります。ブログ側にはSFのレビューなどを投稿しています。 ※SF翻訳活動は、実用度の高い機械翻訳の台頭により意義を失ったと考えるため、2021年以降はほぼ休止しています(2021/4/14投稿を参照)。 ※ブログ内のエントリ間のハイパーリンクはまれに切れている場合がありえます。お手数ですが検索機能をご活用ください。

コスティキアンのCups and Sorceryシリーズは未訳なのではなく未完だった

たぶん日本の9割9分の空想小説読者には忘れ去られているが、グレッグ・コスティキアンという作家(*1)に『ある日、どこかのダンジョンで』と『ドラゴンはダメよ』という抜群に愉快なファンタジー小説の二部作がある。

ただ残念なことに、このシリーズは気宇壮大な構想を匂わせながらもそのごくごく序盤と思われる二編(四分冊)しか日本語訳が刊行されていないのである。その理由を、自分は特に根拠もなく(*2)こう邪推していた。「原作は続いているが、日本ではあまり売れなかったので近視眼的な出版社が邦訳を打ち切ったのだろう」と。

しかし最近ふと思い立ってISFDBを見てみたら、それが誤りだと分かった。このシリーズ(Cups and Sorceryという名称であることもここで知った)はAnother Day, Another Dungeon (1990)とOne Quest, Hold the Dragons (1995)の二編しか書かれていなかったのである。

残念だが、無い袖は振れないので仕方がない。これで二十年ぶりの課題に諦めが付いた。ありがとう、ISFDB。

それにしてもインターネットの魔力はすごい、と言うより昔は本当に紙媒体などからごく限られた情報しか得られていなかったことを改めて思い知った。そして、せっかくの魔力も自らアクセスしなければ無意味であることも改めて思い知った。この件はおそらく十数年前、少なくとも五年前(*3)には知っていて然るべきだった。反省する。


*1 Greg Costikyan。これまで知らなかったが、むしろコンピュータ・ゲームの世界で著名な人物らしく、業界的な表記法はむしろ「コスティキャン」が主流のようだ。

*2 あえて言えば経験則で。経験上、読みたいが続きが出ないシリーズものの過半数は原作ではなく翻訳が途切れているような気がする。

*3 ISFDBの該当ページのInternet Archiveで確認できた最古バージョンが2017年だった。
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