〈オズ〉シリーズ No.4
初読。ここ数日のオズ熱の高まりにより、あまり面白くなさそうなので読んでいなかった巻も制覇するつもりになったので手に取った。
案の定、駄作だった。
ドロシーと又従兄のゼブ、馬車馬のジム、雌猫のユーリカが地震による地割れに落下し、地下のおとぎの国に迷い込むという導入部はなかなか悪くはない。また、そこに〈すばらしい魔法使いオズ〉を合流させる構想も悪くはない。
しかし、その後の展開や細部に何一つ見るべき点がない。地下の国々や登場する種族や文物はファンタジー(フェアリー・テイル)的にもSF的にも今一つパッとしない。新規の同行者ゼブ、ジム、ユーリカに魅力や必然性が無い。主人公たちが常にギリギリで逃避行を続ける展開は他の作品と比べると斬新で緊張感があるとも言えなくはないが単調で場当たり的で特に面白くはない。つまるところ諸々の要素がバラバラでテーマが見出せないのである。
そして物語の後半、いささか唐突に「オズマ姫が〈魔法の絵〉で常にドロシーを監視していて必要が生じ次第助けてくれる」ことが明かされ、まさにデウス・エクス・マキナ的に彼らはエメラルドの都へ瞬間移動されて救助される。あまりにも、あまりにも安易だ。そして駄目押しに、エメラルドの宮殿での日々が(猫の裁判も含めて)退屈の極みである。
とてもプロの作品とは思えない。
ただ一つ良かった点を上げるならば〈すばらしいオズの魔法使い〉の出自と本名(*1)、かつての政権樹立の経緯、その背景となったオズの歴史と慣習が明かされたことくらいだろうか。
*1 オスカー・ゾロアスター・何某、略して(偶然にも)オズ。