〈オズ〉シリーズ No.8
『オズのかかし』、『オズのオズマ姫』を再読したのを機に、これまで読んでいなかった巻も読んでみることにした。あまり期待していなかったところ、予想通りあまり面白くない。
まず目立つのはマンネリズムだ。例えばベッツィとハンクは『オズのオズマ姫』におけるドロシーとビリーナの焼き直し。少女と連れがオズ外縁の国に漂着するのは『オズマ姫』『かかし』の焼き直し。ノームの王に囚われた人々をオズ首脳部(オズマ姫・グリンダ)の手の者たちが救出するのも『オズマ姫』の焼き直し。
バラの娘、虹の娘のように意味のないキャラクターが登場するのもよろしくない。
チクタクが(いちおう登場するにはするが)特に主題ではないものよろしくない。
オズ・シリーズの凋落は、グリンダの存在――全知全能の善なるキャラクターであり、主人公たちがどこでどんな危機に陥っても遠隔で完璧にサポートできる――そのレギュラー化が全ての冒険を茶番と化したことが大きな要因であるが、本作ではそれに匹敵する全知全能にして正義の化身キャラクター、チチチ・フーチューが登場してしまう。安易。あまりにも安易だ。
あえて評価できる点を挙げるならば、ベッツィを中心としたストーリーとウーガブー王国による世界征服の試み(笑)のストーリーが平行し、途中で融合する工夫くらいだろうか。