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プロジェクト・サイラス・スミスBLOG

ホームページ「プロジェクト・サイラス・スミス」http://projcyrussmith.moto-nari.com/ のブログ部分です。メインのコンテンツ(翻訳したSF)自体はホームページ側にあります。ブログ側にはSFのレビューなどを投稿しています。 ※SF翻訳活動は、実用度の高い機械翻訳の台頭により意義を失ったと考えるため、2021年以降はほぼ休止しています(2021/4/14投稿を参照)。 ※ブログ内のエントリ間のハイパーリンクはまれに切れている場合がありえます。お手数ですが検索機能をご活用ください。

ライマン・フランク・ボーム『オズのチクタク』感想

〈オズ〉シリーズ No.8


『オズのかかし』、『オズのオズマ姫』を再読したのを機に、これまで読んでいなかった巻も読んでみることにした。
あまり期待していなかったところ、予想通りあまり面白くない。
まず目立つのはマンネリズムだ。例えばベッツィとハンクは『オズのオズマ姫』におけるドロシーとビリーナの焼き直し。少女と連れがオズ外縁の国に漂着するのは『オズマ姫』『かかし』の焼き直し。ノームの王に囚われた人々をオズ首脳部(オズマ姫・グリンダ)の手の者たちが救出するのも『オズマ姫』の焼き直し。
バラの娘、虹の娘のように意味のないキャラクターが登場するのもよろしくない。
チクタクが(いちおう登場するにはするが)特に主題ではないものよろしくない。
オズ・シリーズの凋落は、グリンダの存在――全知全能の善なるキャラクターであり、主人公たちがどこでどんな危機に陥っても遠隔で完璧にサポートできる――そのレギュラー化が全ての冒険を茶番と化したことが大きな要因であるが、本作ではそれに匹敵する全知全能にして正義の化身キャラクター、チチチ・フーチューが登場してしまう。安易。あまりにも安易だ。
あえて評価できる点を挙げるならば、ベッツィを中心としたストーリーとウーガブー王国による世界征服の試み(笑)のストーリーが平行し、途中で融合する工夫くらいだろうか。
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