急に読みたくなって久しぶりに読んだ。
やはりシド・フライシュマンは素晴らしい。技巧が卓越しているのはもちろんなのだが、“この人の持つ何か”(
cf.アルフレッド・ベスター)が本当に素晴らしい。そして、それだけのものを持ちながらあくまでエンターテインメントに徹する(と言うと語弊があるが…)プロ的姿勢も大好きだ。児童向けだからと言って子供だましに堕さないプロ的姿勢も大好きだ。
何度読んでも、大人になってから読んでも面白い。もっと翻訳して欲しい。『ぼくのすてきな冒険旅行』、『真昼のゆうれい』、『ジンゴ・ジャンゴの冒険旅行』だけでは全く足りない……(※1)
本作に関して言えば19世紀半ばのアメリカという舞台設定、メキシコでの宝探し(これは米墨戦争が背景にあるのだろうか)、北米におけるジプシー文化(※2)、謎の男ピーコック=ヘムロック=ジョーンズ氏というキャラクター(※3)、少年の成長、親子の葛藤、……等々が実に美味しい。
※1 『13階の海賊たち』は今一つだった。『身がわり王子と大どろぼう』、『ゆうれいは魔術師』、『<天才フレディ>と幽霊の旅』は食指が動かず、未読。
※2 Wikipedia日本語版の「ロマ」を引くと、「アメリカでのロマは大きく分けて3つのグループがある。最も早く入植したグループはイングランドから移住したロマニチャルで、テキサス州を中心に8 - 10万人が全米に散らばっている。」とある。これのようだ。
※3 『ぼくのすてきな冒険旅行』のプレイスワージ氏とも共通性を感じる。