西川魯介『兵器局非常識器材関連開発室 ヴンダーカンマー』感想

コンセプトは――随所に詰め込まれた大量のモチーフと言い、愛すべきキャラクターたちと言い、思わせぶりな物語と言い――すごく良い。絵柄も画力も悪くない。

そのため前半を一話完結のコメディ漫画として見れば文句のない出来栄えである。

しかし後半、テーマを持った長編としては消化不良感が拭えない。クライマックスに向かう道のりがどうも盛り上がりに欠けるし、明かされる真実の意外性が弱い。長編が苦手な人なのか、それとも打ち切りに遭ってしまったのか。後者だとすればたかが社会的事情により本作の芸術的ポテンシャルが発揮し切られなかったのが惜しまれる。

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なお本作は「漫画図書館Z」というサイトで読ませてもらった。十年遅いが実に志のあるプロジェクトだ。感謝したい。