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プロジェクト・サイラス・スミスBLOG

ホームページ「プロジェクト・サイラス・スミス」http://projcyrussmith.moto-nari.com/ のブログ部分です。メインのコンテンツ(翻訳したSF)自体はホームページ側にあります。ブログ側にはSFのレビューなどを投稿しています。 ※SF翻訳活動は、実用度の高い機械翻訳の台頭により意義を失ったと考えるため、2021年以降はほぼ休止しています(2021/4/14投稿を参照)。 ※ブログ内のエントリ間のハイパーリンクはまれに切れている場合がありえます。お手数ですが検索機能をご活用ください。

エリック・フランク・ラッセル『The Great Radio Peril』感想

原文:Astounding誌 1937年4月号(Internet Archive)

"Saga of Pelican West"と同様、以前ブックマークしておいたものの一つを消化してみた。

ペリカン・ウェストの方とは対照的に、こちらはなかなか着目すべき作品だ。

梗概:近未来(1950年代)、ラジオは政治的プロパガンダや商業的コマーシャルの放送手段としてこれまで以上に重要になっていた。しかし国家間の周波数帯域資源の調整会議は年々難航するようになり、ついに破綻し、国家間の仁義なき放送出力増大競争が始まる。それと時を同じくして世界的な農作物の不作が発生する。一人の科学者が、従来は自然界に存在しなかった強力で継続的な電磁波が植物にダメージを与えていることに気づく。政府機関は利害関係からそれを認めないが、各国で暴動が発生し、放送局がことごとく打ち壊されると凶作は収まる。その後の人類はラジオなしでやっていくことになる…

小説としての出来は特に良くはない(というより『最後にして最初の人間』のように小説的であることを放棄したスタイルと言えるかもしれない)が、その風刺性、科学技術に対するネガティブな姿勢は注目に値する。ネタが「電磁波の有害性」であることも極めて興味深い。これが人類初の公刊された文書だとは言わないまでも、初期かつ有力なものの一つではあるだろう。

以下、イラストを紹介。クレジットはないがISFDBによると画家はElliott Dold, Jr.なる人物。

「怒り狂った暴徒たちは巨大送信機の前に押し寄せた――」

「頭巾をかぶった集団が電波塔を破壊し、疾風のように逃げ去って行った――」
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