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プロジェクト・サイラス・スミスBLOG

ホームページ「プロジェクト・サイラス・スミス」http://projcyrussmith.moto-nari.com/ のブログ部分です。メインのコンテンツ(翻訳したSF)自体はホームページ側にあります。ブログ側にはSFのレビューなどを投稿しています。 ※SF翻訳活動は、実用度の高い機械翻訳の台頭により意義を失ったと考えるため、2021年以降はほぼ休止しています(2021/4/14投稿を参照)。 ※ブログ内のエントリ間のハイパーリンクはまれに切れている場合がありえます。お手数ですが検索機能をご活用ください。

トム・ゴドウィン『The Helpful Hand of God』感想

"The Helpful Hand of God"  (1961) by Tom Godwin
Analog誌1961年12月号
https://www.gutenberg.org/ebooks/30322

『宇宙の漂流者』の作者として私が敬愛してやまないSF作家、トム・ゴドウィン。その作品のかなり多くがProject Gutenbergで公開されているのは幸いではあるが、それに気付いてブックマークした当時は効率的に読む手段がなく過半数は長年放置していた。それが今ならyadatta+みらい翻訳があることに思い当たり、ようやく一つ読んでみたものである。

まあまあ面白かった。「非人間的な全体主義に席巻された未来社会」で「抵抗分子からの転向者である主人公」が「抵抗勢力の生き残りを心ならずも弾圧する羽目になる」という構図は"The Last Victory" (1957)(拙訳『最後の勝利』)と共通しており、興味深い。ゴドウィンにとって終生のテーマなのであろう。考えてみれば『宇宙の漂流者』も非人間性との戦いがテーマと言える。

トム・ゴドウィンらしい骨太な空気感は好ましいし、人間性が勝利を収めるハッピーエンドは心を打つ。しかし結末に至るためのSF的アイディアが貧弱なのが残念だ。
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