忍者ブログ

プロジェクト・サイラス・スミスBLOG

ホームページ「プロジェクト・サイラス・スミス」http://projcyrussmith.moto-nari.com/ のブログ部分です。メインのコンテンツ(翻訳したSF)自体はホームページ側にあります。ブログ側にはSFのレビューなどを投稿しています。 ※SF翻訳活動は、実用度の高い機械翻訳の台頭により意義を失ったと考えるため、2021年以降はほぼ休止しています(2021/4/14投稿を参照)。 ※ブログ内のエントリ間のハイパーリンクはまれに切れている場合がありえます。お手数ですが検索機能をご活用ください。

ハミルトン『最後の惑星船の謎』感想

久保Q-TブックスSFーーおそらく1990年代末から2000年代前半で大半は読破したーーの読み残しの1つ。最近の自分の中で起こっているエドモンド・ハミルトン・リヴァイバルの流れにおいて、本書が未読であることを思い出したため読んでみたものである。

なかなか面白かった。戦後の混乱期、中国南部の辺境。ある軍閥に加わって共産軍と戦っていた四人の傭兵が、謎の男に誘われて中央アジアの奥地に向かうという秘境冒険SFである。秘境もので戦後が舞台とは珍しいが、おそらくこの辺りが秘境冒険小説が秘境冒険小説たりえた最後のものであろう。

四人の傭兵たちのキャラクターがしっかりしている(特に主人公には好感が持てる)し、ヒロインにも魅力がある。プロットも優れている。ただの秘境冒険小説と見せかけて肝がSFなのは良い。

『生命の湖』や『審判の日』、『人工進化の秘密!』などとモチーフに共通性が見られるのも興味深い。

ハミルトンの作風の多彩さと、マイナー作品にも良いものがあることを改めて認識した。
PR

コメント

プロフィール

HN:
匿名(仮称:プロジェクト・サイラス・スミス管理人)
性別:
非公開

P R