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プロジェクト・サイラス・スミスBLOG

ホームページ「プロジェクト・サイラス・スミス」http://projcyrussmith.moto-nari.com/ のブログ部分です。メインのコンテンツ(翻訳したSF)自体はホームページ側にあります。ブログ側にはSFのレビューなどを投稿しています。 ※SF翻訳活動は、実用度の高い機械翻訳の台頭により意義を失ったと考えるため、2021年以降はほぼ休止しています(2021/4/14投稿を参照)。 ※ブログ内のエントリ間のハイパーリンクはまれに切れている場合がありえます。お手数ですが検索機能をご活用ください。

メイスフィールド『ニワトリ号一番のり』の固有名詞

前々からから、一部の固有名詞(おそらく特記がないので英語圏の名前のはずだが)の原綴りが全く見当が付かず、疑問に思っていたところ、昨夜久しぶりに読み返したのを機に調べてみた。


Googleブックスよありがとう。


結論として、概して福音館書店の『ニワトリ号一番のり』における固有名詞のカナ表記は、やはり(最近の翻訳者のマジョリティ的なやり方と比べると)多少クセがあることが分かった。明らかな法則性としては最近のマジョリティでは「ッ」や「ー」を入れる可能性が高いところについて、原則入れない傾向が見られる。

いくつか具体例を挙げていこう。


【高難易度】


チェジロウ Chedglow なるほど。自分だったら「チェドグロウ」か「チェッドグロウ」とでも表記するところだが、たぶん滑らかに発音すれば「チェジロウ」みたく聞こえるのだろう。さらにググってみるとイングランドに同名の地名があるので、苗字としてもありえなくはない模様。……当然「二郎」とは関係なかった。


クラタバック Clutterbucke なるほど。自分だったら「クラッターバック」とするだろうか。……当然「倉田」とは関係なかった。


ルエリン・エファンズ Llewellyn Efans 「Evans」ならよくある姓だが、誤記ではなく本当に「Efans」と書いてある。……丁寧に訳書を読み直すと、85ページにこの人物はウェールズ人だとある。調べてみるとルウェリンというファーストネームもウェールズ名であるらしく、辻褄が合う。つまり「Efans」も英語姓というよりウェールズ語姓なのだろう。そして、この人物の奇妙な訛りはウェールズ語訛りなのだろう。ちなみに85ページのエファンズのセリフ

「ダンチスバーン船長が、航海士、」とエファンズがいった。この男のことばは濁音が静音になることがよくあった。「すんませんが、ダンチスバーン船長が、あれは大型ポートへ入れるんたといいました。そうてす、航海士」

の原文は

"Captain Duntisbourne, sir," Efans said, "if you please, sir, Captain Duntisbourne said she wass to go in the long-poat, yess, sir."

となっている。


【低難易度】


ダンチスバーン Duntisbourne なるほど。


トルズベリー Trewsbury なるほど。


エジワス Edgeworth なるほど。


ネイルズワス Nailsworth なるほど。


フェアファッド Fairford なるほど。


【おまけ】


フーキェン号 Fu-Kien 福建


マイザドン Miserden


ブラックゴーントレット号 Blackgauntlet

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