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前々からから、一部の固有名詞(おそらく特記がないので英語圏の名前のはずだが)の原綴りが全く見当が付かず、疑問に思っていたところ、昨夜久しぶりに読み返したのを機に調べてみた。
Googleブックスよありがとう。
結論として、概して福音館書店の『ニワトリ号一番のり』における固有名詞のカナ表記は、やはり(最近の翻訳者のマジョリティ的なやり方と比べると)多少クセがあることが分かった。明らかな法則性としては最近のマジョリティでは「ッ」や「ー」を入れる可能性が高いところについて、原則入れない傾向が見られる。
いくつか具体例を挙げていこう。
【高難易度】
チェジロウ Chedglow なるほど。自分だったら「チェドグロウ」か「チェッドグロウ」とでも表記するところだが、たぶん滑らかに発音すれば「チェジロウ」みたく聞こえるのだろう。さらにググってみるとイングランドに同名の地名があるので、苗字としてもありえなくはない模様。……当然「二郎」とは関係なかった。
クラタバック Clutterbucke なるほど。自分だったら「クラッターバック」とするだろうか。……当然「倉田」とは関係なかった。
ルエリン・エファンズ Llewellyn Efans 「Evans」ならよくある姓だが、誤記ではなく本当に「Efans」と書いてある。……丁寧に訳書を読み直すと、85ページにこの人物はウェールズ人だとある。調べてみるとルウェリンというファーストネームもウェールズ名であるらしく、辻褄が合う。つまり「Efans」も英語姓というよりウェールズ語姓なのだろう。そして、この人物の奇妙な訛りはウェールズ語訛りなのだろう。ちなみに85ページのエファンズのセリフ
「ダンチスバーン船長が、航海士、」とエファンズがいった。この男のことばは濁音が静音になることがよくあった。「すんませんが、ダンチスバーン船長が、あれは大型ポートへ入れるんたといいました。そうてす、航海士」
の原文は
"Captain Duntisbourne, sir," Efans said, "if you please, sir, Captain Duntisbourne said she wass to go in the long-poat, yess, sir."
となっている。
【低難易度】
ダンチスバーン Duntisbourne なるほど。
トルズベリー Trewsbury なるほど。
エジワス Edgeworth なるほど。
ネイルズワス Nailsworth なるほど。
フェアファッド Fairford なるほど。
【おまけ】
フーキェン号 Fu-Kien 福建
マイザドン Miserden
ブラックゴーントレット号 Blackgauntlet