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プロジェクト・サイラス・スミスBLOG

ホームページ「プロジェクト・サイラス・スミス」http://projcyrussmith.moto-nari.com/ のブログ部分です。メインのコンテンツ(翻訳したSF)自体はホームページ側にあります。ブログ側にはSFのレビューなどを投稿しています。 ※SF翻訳活動は、実用度の高い機械翻訳の台頭により意義を失ったと考えるため、2021年以降はほぼ休止しています(2021/4/14投稿を参照)。 ※ブログ内のエントリ間のハイパーリンクはまれに切れている場合がありえます。お手数ですが検索機能をご活用ください。

人類は進歩しているのか?

むかしむかし、小学生だったころ投稿者が最初に『消えた土星探検隊』を読んだ時、妙に印象に残ったセリフがある。確かこんな感じだった:
前時代の人間は、宇宙時代になれば人類は変わると想像していた。考え方も、生き方も。しかしそれは間違いだったと俺たちは知っている。俺たちは何も変わっていない。卑近な問題に頭を悩ますし、長い宇宙飛行では退屈し切って、だらだらと探偵小説なんかを読んで暇を潰すわけだ。
当時は、印象には残ったが賛同はできなかった。21世紀には――自分が大人になるころには――自然科学と工学技術は不可能の文字を辞書から抹消し、社会の全てが最適化されて貧困も不平等も戦争もなく、個々人の知性と人間性も磨き抜かれ、つまるところ半神たちのユートピアが実現されるのだと何の根拠もなく信じていた。

だがそれが間違いだった(少なくとも21初頭現在では全く実現されていない)と、今では私も知っている。

加点法で見れば“知識”が着実に積み重なっていることは明白である。だが“知性”はどうだろうか。積み重なった英知の産物を活かせていない乖離度合いは着実に悪化しているように思えてならない。

例えば私の半生の範囲内だけで見ても、コンピュータの発達と普及には目を見張るものがあるが、それが人々の生き方や考え方に本質的な違いをもたらしたかは、かなり疑問である。

スマートフォンユーザーは黒電話ユーザーより崇高か?
SNSは人付き合いの本質を崇高にしたか? または少なくとも変えたか?
OA機器はオフィスワークを効率化したか?

……あまりそうとは思えない。

私(や『消えた土星探検隊』の昔の人々)の誤りは、エリート層の知識の発達と人類全体の知性の発達を混同したことにある。残念ながら前者は後者に直結しない。なので後者を意図的に補強し、前者との乖離を減らしていくのが人類発展への道ではないかと思った。あと職場における無能は消えろ。
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