講談社、少年少女世界科学冒険全集 (21)、昭和32年刊行。国立国会図書館デジタルコレクションの個人送信サービスにて。
たまたま目に入ったので読んでみたところ、岩崎書店版(SFこども図書館版/SF世界の名作版)とは全く違う内容で驚いた。岩崎書店版は(他の巻もそうなので当然であるが)ずいぶんと極端に短縮されていたのであり、本書が作品の本当の姿だったのだ。
というわけで本書を読むことにより、SFキャリアの最初期(*1)に読んだ作品のうち最も理解し難かった作品(*2)である『宇宙少年ケムロ』の謎がようやく半分は解消した。つまるところ
・元々自己完結的で意味不明な設定の作品である
・それを極端な抄訳にしたためなおさら説明不足で意味不明になっていた
という構図だったのである。
調べたら講談社版も岩崎書店版も訳者は白木茂なので、訳者の不手際と言うより原作が悪いと考えるべきだろう。あと、こういう意味不明な作品を選んだ編集部にも問題がある。
*1 岩崎書店「SFロマン文庫」、あかね書房「少年少女世界SF文学全集」、岩崎書店「SFこども図書館版/SF世界の名作」の3つの全集を主に読んでいた。
*2 当時の自分側に責任がある(自分の読解力が不足していたために当時理解できなかった)作品は除く。