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プロジェクト・サイラス・スミスBLOG

ホームページ「プロジェクト・サイラス・スミス」http://projcyrussmith.moto-nari.com/ のブログ部分です。メインのコンテンツ(翻訳したSF)自体はホームページ側にあります。ブログ側にはSFのレビューなどを投稿しています。 ※SF翻訳活動は、実用度の高い機械翻訳の台頭により意義を失ったと考えるため、2021年以降はほぼ休止しています(2021/4/14投稿を参照)。 ※ブログ内のエントリ間のハイパーリンクはまれに切れている場合がありえます。お手数ですが検索機能をご活用ください。

SFロマン文庫を語る 第8回

第8回は、SFロマン文庫第8巻、福島正実の『迷宮世界』を紹介します。
本書については手元にない状態で本稿を書いたので、至らない点はご容赦ください。また、この巻については少年時代にあまり反復しておらず、成人してから読み返すこともしていないので、至らない点はご容赦ください。

【ビブリオグラフィ > 基本データ】
巻号:8
題名:迷宮世界
原書:----
著者:福島正実
訳者:----
イラストレーター:武笠信英
対象年齢:小学校高学年程度(※レビュアーによる見解)
 
【レビュアーによる評点 (S, A, B, C, D) 】

 SF的着想の良さ小説としての良さ総合評価
迷宮世界(短い長編)C-DD+
明日は…嵐(短編)DC-D+
本全体としての総合評価:D+
 
【概要】
福島正実の短めの長編または長めの中編『迷宮世界』と、短編『明日は…嵐』を収録する。(申し訳ありませんが細かい点や結末を記憶していないので、梗概でなく概要とさせていただきます。)
 
【概要 > 迷宮世界】
スリラー/サスペンス仕立ての並行世界もの。
舞台は現代。日本人の(新聞記者か何かだったか?)主人公は万国博覧会の取材中、アメリカ人美女が乗っていた、閉じんとしていたエレベーターに無理やり乗り込んだ。だが美女は異次元人、エレベーターは巧みに偽装された次元転送装置だった。彼は枢軸側が第二次世界大戦で勝利した並行世界を目の当たりにする……
 
【概要 > 明日は…嵐】
ポスト・アポカリプスもの。
舞台は現代。少年は、友人の一家の別荘で休暇を楽しんでいた。しかし前触れもなく核戦争が勃発。彼らは別荘に併設された核シェルターに退避する。
難が去り、シェルターを出た彼らが目にしたのは鬱蒼たる密林。そして変わり果てた未来社会だった……
 
【評価・感想】
つまらない。全く魅力がない。どこかで読んだような海外SFの二番煎じ臭が見え見えでありつつ、海外SFの香気を欠いている。独自の味があるかと言えばそうでもない。子供向けと高をくくっているのか、小説としても陳腐の極み。
賞味期限という意味でも、書かれた時点ではまだしも存在意義があったのかもしれないが、SFロマン文庫の時点で完全に存在意義なし。ましてやSF名作セレクションの時点では。
福島正実は偉大な編集者・翻訳者であり現代日本SF界の父であるが、創作者としては二流半の域を出ないことがよく分かる作品である。恐るべきは、福島正実の創作が本書を含め3冊も本文庫に収録されているという事実。そして、本書が本文庫のワーストではないという事実だ。編集者はどれだけ忖度したのか? もしくは本人が編集者だったのであればどれだけちゃっかり役得を利用しているのか。猛省を促したい。
 
【ビブリオグラフィ > 異版情報】
SF少年文庫 → SFロマン文庫 → SF名作コレクション(タイトル変わらず)。
SFコレクション版は、実物は見たことがありませんが、Web上で表紙のサムネイルを見た限りでは悪くないです。とは言え、そもそも本巻を平成の御代にまでリプリントした判断にはかなりの疑念があります。
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