THE MAN FROM PLANET X (1951)
なかなか楽しく観れた。
この時代の特撮技術の水準から言ってもチープで低予算だろうし、同時代のSF小説から見れば何周も遅れているし、全体的にどうにも不器用さが拭えないが、それでもなお光る点がいくつもある。
・チープながらもX星人の造形には独特の迫力と真実味がある。映画という映像メディアの特性を最大限に活かしており、ここがコケると全てが台無しになる要所を――あるいはここさえ押さえておけば他はどうとでもなる要所を――なんとか成功させたと言える。
・異星人を怪物ではなく半神でもなく、人類と同様の「善にも悪にもなり得る定命の生物」として描いた。
・異星人とのコミュニケーションが(明らかに高度な知性があるにも関わらず)極めて困難である可能性を、不器用ながらも、当時の素人にも分かるようにはっきりと示した。
・少しの不注意、ちょっとした出来心の悪意、そしてディスコミュニケーションがファースト・コンタクトにおいては大きな悲劇を生むことを示した。
・以上を示す土台となる、独特の空気感が不器用ながらも成功裏に醸成されている。
この時代の低予算SF映画としては注目に値する、隠れた秀作と言えるだろう。