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プロジェクト・サイラス・スミスBLOG

ホームページ「プロジェクト・サイラス・スミス」http://projcyrussmith.moto-nari.com/ のブログ部分です。メインのコンテンツ(翻訳したSF)自体はホームページ側にあります。ブログ側にはSFのレビューなどを投稿しています。 ※SF翻訳活動は、実用度の高い機械翻訳の台頭により意義を失ったと考えるため、2021年以降はほぼ休止しています(2021/4/14投稿を参照)。 ※ブログ内のエントリ間のハイパーリンクはまれに切れている場合がありえます。お手数ですが検索機能をご活用ください。

映画『惑星Xから来た男』感想

THE MAN FROM PLANET X (1951)


なかなか楽しく観れた。

この時代の特撮技術の水準から言ってもチープで低予算だろうし、同時代のSF小説から見れば何周も遅れているし、全体的にどうにも不器用さが拭えないが、それでもなお光る点がいくつもある。
・チープながらもX星人の造形には独特の迫力と真実味がある。映画という映像メディアの特性を最大限に活かしており、ここがコケると全てが台無しになる要所を――あるいはここさえ押さえておけば他はどうとでもなる要所を――なんとか成功させたと言える。
・異星人を怪物ではなく半神でもなく、人類と同様の「善にも悪にもなり得る定命の生物」として描いた。
・異星人とのコミュニケーションが(明らかに高度な知性があるにも関わらず)極めて困難である可能性を、不器用ながらも、当時の素人にも分かるようにはっきりと示した。
・少しの不注意、ちょっとした出来心の悪意、そしてディスコミュニケーションがファースト・コンタクトにおいては大きな悲劇を生むことを示した。
・以上を示す土台となる、独特の空気感が不器用ながらも成功裏に醸成されている。

この時代の低予算SF映画としては注目に値する、隠れた秀作と言えるだろう。
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