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プロジェクト・サイラス・スミスBLOG

ホームページ「プロジェクト・サイラス・スミス」http://projcyrussmith.moto-nari.com/ のブログ部分です。メインのコンテンツ(翻訳したSF)自体はホームページ側にあります。ブログ側にはSFのレビューなどを投稿しています。 ※SF翻訳活動は、実用度の高い機械翻訳の台頭により意義を失ったと考えるため、2021年以降はほぼ休止しています(2021/4/14投稿を参照)。 ※ブログ内のエントリ間のハイパーリンクはまれに切れている場合がありえます。お手数ですが検索機能をご活用ください。

ジュール・ヴェルヌ『緑の光線』感想

学生時代、パシフィカ版を一・二度読んではいたところ、たまたま図書館で文遊社版を見かけたので久しぶりに再読してみた。

記憶していたとおり、やはり特に面白くはない。おそらくこの題名のジュール・ヴェルヌ作品に我々(?)が求めているのは、緑色の殺人光線を発明したマッド・サイエンティスト、その発明で悪事を企む一団、そして正義の技師の三つ巴の科学戦なのであって、ただの普通小説を出されてしまうと失望を通り越して戸惑ってしまう。

ただし、今回の再読で一応の美点には気付いた。一つがスコットランドの沿岸部・島嶼部に関する地理学小説として優れていることで、これはまさにヴェルヌの本領が発揮されている。もう一つが(美点と言うとちょっと違うが)ヴェルヌらしいキャラクター造形だ。イディオ・サヴァン的衒学者のアリストビューラス・ウルシクロス、意志薄弱な中年独身男のサムとシブと言ったヴェルヌ的ダメ人間たちが右往左往するコメディとしては見どころがなくはない。
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