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プロジェクト・サイラス・スミスBLOG

ホームページ「プロジェクト・サイラス・スミス」http://projcyrussmith.moto-nari.com/ のブログ部分です。メインのコンテンツ(翻訳したSF)自体はホームページ側にあります。ブログ側にはSFのレビューなどを投稿しています。 ※SF翻訳活動は、実用度の高い機械翻訳の台頭により意義を失ったと考えるため、2021年以降はほぼ休止しています(2021/4/14投稿を参照)。 ※ブログ内のエントリ間のハイパーリンクはまれに切れている場合がありえます。お手数ですが検索機能をご活用ください。

水木しげる『鬼太郎夜話』感想

「ゲゲゲの鬼太郎」。少年時代から――おそらくSFを読み始める前から――愛読していたが最近は読んでいなかったところ急に再読したくなり、これを機に網羅的に読もうと思い立った。

軽く調べてみたところ本シリーズは長期にわたり多数の媒体に発表され、その書籍化事情も重複あり未書籍化ありで混迷を極めていることが分かった(自分がこれまで読んだのは半分にも満たないであろうことをようやく知った)。しかし幸いなことに現代では「網羅的」を謳っている全集が2種存在することを掴んだ。それが
講談社の「水木しげる漫画大全集」のうちの「ゲゲゲの鬼太郎」の巻(計18冊)
及び
e Book Japanの「鬼太郎大全集」(全46巻)
である。

さらに幸いなことに両者ともに電子版がある(というか後者は電子版しかないようだ)ため、いずれかを購入することにした。両者ともあまりにも長大であるため収録作品一つ一つの内容を比較して優劣を判断することは困難の極みだし、それどころかいかなる作品が収録されているかを比較することすら困難である。収録作品数を推測する簡便な手法として、それぞれの累計ページ数(の推測値)を比較したところ両者とも九千~一万ページであり同等程度であることが伺われた。

その一方、明らかな差異が一つあった。それは価格である。前者は総額5万円程度であり、一般的な漫画本のページ当たり価格の相場からするとかなり割高である(カラーページ再録等を謳っているため仕方ない面はあろうが、自分としてはそのセールスポイントは特に求めていないのだ)。そして後者は総額2万円程で良心価格である(しかもe Book Japanだと週単位で配布されるクーポンを活用するとさらに2割引か3割引となる)。そのため総合的に判断して後者eBook Japan版の購入を決断するに至った。

というわけでまずは1~3巻を占める「鬼太郎夜話」を読む。これはむかし角川書店版で読んだことがあり、かなり久しぶりの再読となる。

実に読ませる。記憶していた以上の力作であり傑作だ。この世界観、この迫力、この戦慄。半世紀が経過しているが未だに本作を超える怪奇漫画は現れていないのではなかろうか。この、水木しげる特有の美術的で細密な作画が物語に強力な説得力を与えている。まさに漫画というメディア形式を十全に生かし切っていると言えよう。プロの仕事であり、そして芸術家の仕事である。感服する。

追記:eBook Japan。各社の電子書籍ショップがほぼ限りなく同じ品揃えな中、「鬼太郎大全集」然り、横山光輝の諸作品然り、他社の電子書籍ショップには無いコンテンツを備えている独自性が高く評価できる。今後はリスク分散の意味も含めてもう少し贔屓にしよう。
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