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プロジェクト・サイラス・スミスBLOG

ホームページ「プロジェクト・サイラス・スミス」http://projcyrussmith.moto-nari.com/ のブログ部分です。メインのコンテンツ(翻訳したSF)自体はホームページ側にあります。ブログ側にはSFのレビューなどを投稿しています。 ※SF翻訳活動は、実用度の高い機械翻訳の台頭により意義を失ったと考えるため、2021年以降はほぼ休止しています(2021/4/14投稿を参照)。 ※ブログ内のエントリ間のハイパーリンクはまれに切れている場合がありえます。お手数ですが検索機能をご活用ください。

サミュエル・バトラー『エレホン』(武藤浩史訳)感想

【経緯】
新訳版が出ていることに気付いたので読んでみた。岩波文庫版(山本政喜訳)と比べると、だいぶ読みやすい印象を受ける。

【感想】
『エレホン』自体についても少しだけ述べたい。

久しぶりに読んだのだが、やはり序盤は面白い。しかし中盤以降はユートピア小説の通例に漏れず、物語としては退屈である。また、おそらく本作の主旨であろう風刺についても、現代日本人にとっては理解しがたいため良い効果を得られていない(もちろんこれは読者側にも責がある。古典を読む好事家は、本当は背景を予習しなければならない)。

SFとしてのアイディアには光るものがある。特に、(現代風に表現するならば)シンギュラリティを予測した民族があえてテクノロジーを放棄した、という設定は実に冴えている。それが面白さに活かされていないのが残念である。
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