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プロジェクト・サイラス・スミスBLOG

ホームページ「プロジェクト・サイラス・スミス」http://projcyrussmith.moto-nari.com/ のブログ部分です。メインのコンテンツ(翻訳したSF)自体はホームページ側にあります。ブログ側にはSFのレビューなどを投稿しています。 ※SF翻訳活動は、実用度の高い機械翻訳の台頭により意義を失ったと考えるため、2021年以降はほぼ休止しています(2021/4/14投稿を参照)。 ※ブログ内のエントリ間のハイパーリンクはまれに切れている場合がありえます。お手数ですが検索機能をご活用ください。

チャド・オリヴァー『異星の隣人たち』感想

『時の風』のエントリで述べた通り、昔読んだはずが内容を全く覚えていないことに気づき、入手して読んでみた。

結果、覚えのある個所が全く見当たらなかった。どうやら読んだはずと思っていたのが誤りだったようだ。

感想としてはさほど面白くはなかった。チャド・オリヴァーの本領発揮たる人類学テーマで、構想には良いところもあるのだがあまりにも地味過ぎるしその割に今ひとつ必然性に欠ける――どうして人類初のファーストコンタクトという大事業にたった数人の学者だけで当たるのか? 宇宙船の輸送力的に人数制限があるなら、学者たちの妻たちを同伴しなければ実働人数を倍にできるのでは? そして、それほどの重要任務に際してどうして彼らは全くのノーガードなのか?

また、西欧人インテリ主人公が(相方は脱落したのとは対照的に)原始人のイニシエーションをくぐり抜けて彼らと精神的同胞になるという結末は、少々安直に思える。

そして一番良くないのは、センス・オブ・ワンダーが希薄なことだ。初めての異星人発見も、一流学者団の失敗も、テレパシーも、主人公の目覚めも、いずれも結局バラバラな事象に過ぎず、相乗的に良きSFを構築できていない。「力作巨編!」とは言い難い。
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