ハヤカワ・SF・シリーズの『S-Fマガジン・ベスト No.1』にて、エドモンド・ハミルトンの短編『世界のたそがれに』 In the World's Dusk (1936) をおそらく初めて読んだ。
良い。
とても良い。
ハミルトンの、暗いセンス・オブ・ワンダーに満ちたSF作家としての面が実に良く発揮されている(※もちろん明るいスペースオペラ作家としてのハミルトンも好きなのだが、それは別の話だ)。擬古調で語られる地球最後の男の労苦と苦悩。そしてSF的に秀逸な結末。久しぶりに良い読書体験ができた。
これは確かに、ただでさえ良作ぞろいだった初期SFマガジンにおけるベスト短編の一つと言えるだろう。
長年SF者をやっていてこれを読んでいなかったのは愚かだった。実は『審判の後に』After a Judgement Day (1963) と混同していたので、積極的に読もうとしていなかったのである。反省する。
……さらに白状するとHPBの方の『S-Fマガジン・ベスト』自体、読んだのは今回が初めてかもしれない。収録作品をパッと調べると大半が結局は有名作品で他のアンソロジーで読めるものばかりなので、怠っていたのだ。今後は引き続きNo.2~4内の未読作品も不精をせずに読んで行こうと思う。それにしてもラインナップを見ると本当に名作ばかりだ。本当に昔は良かった……。あと、芳賀SFシリーズ/講談社文庫BX海外SF傑作選って、いくら何でも『S-Fマガジン・ベスト』と共通作品が多すぎじゃないだろうか。同じ人間が編集しているから自然と類似してくるのは分かるし、ベストを選ぶという特性上自明に収斂してくるもの分かるが、度が過ぎていませんかね?