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最近
なんて記事を読んだり、
という換算サイトを知ったりしたのを機に『八十日間世界一周』に出てくる金額を考察してたい。
主な金額を列挙してみよう。
さて、1870年代の1ポンドは現代の何ポンドなのか。Currency converterによると
である。
そしてGoogle検索によると2017年の1ポンドは140円~150円くらいである。
つまり単純に計算すると作中の1ポンドは9千円~1万円ということになる。簡単化のために1万円としよう。
また1ギニー=21シリング、1ポンド=20シリング、1シリング=12ペニーという法則(なんという愚劣な法則か!)も考慮すると上記の表は次のようになる。
うーむ。この換算が正しいとすれば、現代的価値観において最も不当なのがやはりパスパルトゥーの給料だろう。日給750円とは! 仮に毎日給料が発生するとしても月給2.25ポンド=2.25万円、年俸27.375万円にしかならない! 衣食住付きだとしてもこの給料であれだけ八面六臂の働きをさせられるのだとしたら、現代日本のブラック企業も顔負けではないか。フォッグ氏は女にコートを買ってやるよりは忠臣にボーナス75ポンドを払ってやるべきだろう。
……と、ここまで書いたところで上記の1ポンド=1万円という換算式がどうやら正しくなさそうだと気づいた。なぜならば、上記「シャーロック・ホームズの金銭感覚」で挙げられている例
の中にも、月収2ポンド台の人が存在するからだ。これで「充分暮らせる」わけがない。とするとヴィクトリア朝の1ポンドは、下手なデータ主義はやめて直観で、やはり5万円くらいと見た方が良さそうだ。つまり
となる(インド軍人が高給だという記述ともこれなら平仄が合う)。よってフォッグ氏が奴隷使いだとまでは言えないが、それにしてもこの4例の中でパスパルトゥーの給与が最も低いことに違いはない。もっと払ってやれよ……