国立国会図書館デジタルコレクションの個人送信サービスは、他では読めない希書を読めるのが主旨だと認識していたが、ほかの使い道を見出した。それは、別に普通に手に入る書物の無料な代替品として、それと同等の内容の希書を読むという使い方である。(本末転倒で邪道な使い方だが、法外な国税を払っているのだからまあ勘弁してもらいたい。)
経緯:先日急に『アラジンと魔法のランプ』が読みたくなった。最寄りの図書館に行けば『アラビアン・ナイト』の何種類かの訳本が容易に借りられるはずだったのだが(※1)、折悪しく臨時休館であった(そこそこ払っている地方税を損した気分だ)。そこでインターネット上に無料のコンテンツが無いか漁ってみたところ、意外にも見つからなかった。有償の電子書籍は何種類かあったが、数年に一度しか参照しないであろう書物に出費するには高価なものばかりであった。
そこでようやく国立国会図書館デジタルコレクションの個人送信サービスに思い至ったのである。
さて、ここで一つ不利な条件があるのだが、私は戦後生まれの悲しさで、旧漢字・旧仮名遣いの書物は快適には読めないため、対象とできる書物はおおむね1950年代以降に限られる。なおかつ個人送信サービスの対象となっている書籍は1960年代以前が大半であるため、結局このように使えるであろう書籍は1950年代・60年代の出版物のみという狭い範囲内に限られるわけである。
そういうわけで望みのコンテンツが得られない懸念もあったのだが、本件については幸いにして集英社刊・大宅壮一 訳の『千夜一夜 : 全訳』(全13巻?)を発見できた(※2)。大満足。
というわけで、繰り返しになるが個人送信サービスは実に使える。
※1 『アラジンと魔法のランプ』と『アリ・ババと四十人の盗賊』は本当のアラビアン・ナイトではないという議論はここでは扱わない。
※2 当初「アラビアン・ナイト」「千一夜物語」「千夜一夜物語」でしか検索せず、今ひとつ望んでいるものが見つからなかったのだが、あきらめずに「バートン」とか「アラジン」とかで色々検索してみて良かった。(※3)(※4)
※3 例えば「バートン」ではこの訳書の特定の巻しかヒットしないとか、国立国会図書館のインデックスはだいぶいい加減のようだ。
※4 『千夜一夜 』とは若干癖のあるタイトルであり、現代人から見ると検索性を損なうものだが、なんか当時の流行りなのだろうか。