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プロジェクト・サイラス・スミスBLOG

ホームページ「プロジェクト・サイラス・スミス」http://projcyrussmith.moto-nari.com/ のブログ部分です。メインのコンテンツ(翻訳したSF)自体はホームページ側にあります。ブログ側にはSFのレビューなどを投稿しています。 ※SF翻訳活動は、実用度の高い機械翻訳の台頭により意義を失ったと考えるため、2021年以降はほぼ休止しています(2021/4/14投稿を参照)。 ※ブログ内のエントリ間のハイパーリンクはまれに切れている場合がありえます。お手数ですが検索機能をご活用ください。

E・R・バローズ『風雲のメキシコ(マッカー・シリーズ2)』感想

SFではないので――また、前巻『南海の秘境』が光る点はありながらも成功作とは言い難いことから―――全く期待せず手に取ったのだが、意外や意外、かなり面白かった。本シリーズがバローズの最高傑作だというリチャード・ルポフの評価も一理ある。バローズの多くの作品に見られる多くの欠点が軽減され、逆にいくつかの作品に萌芽的に見られる程度の美点がはっきりと発現し、バローズの作品の中では小説として類まれな出来ばえとなっている。

主人公ビリーは前作に引き続き、いや前作よりもさらにキャラクターの魅力に磨きが掛かっているし、相方の謎の男L・ブリッジも他のバローズ作品には見られない独自性と存在感があり、作品の質を高めることに貢献している。

20世紀初頭のメキシコという舞台も魅力的で、火星シリーズ初期の火星、ペルシダーシリーズ初期の地底に匹敵する生き生きとしたアトモスフィアを感じる。

エドガー・ライス・バローズが本当に実力を発揮すればこんな小説も書けるのか。ひょっとするとこの人は空想小説よりも普通小説が得意だったのか…?
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