以前途中まで原文を読んだところで邦訳の存在を知り、入手して読んでみたものである。
結果、頑張って入手するほどの作品とは言い難いと感じた。いたずらに派手なガジェット、無闇に息をつかせぬアクションの連続が、底の浅さを隠せていないどころかむしろ際立たせている。まあ、サービス精神旺盛な古き良きスペース・オペラと言えなくもないが…
ウィリアムスンの他の(一流の)作品にも見られるモチーフが複数見られるのは興味深く感じた。例えば「無慈悲で傲慢なロボット軍団に対して絶望的な反抗を企てる男」たちという構図は『ヒューマノイド』だし、「自分の子孫たちの活躍を幻視する男」、「謎の防御線に守られた惑星への突入」、「一発逆転の秘密の鍵を握る乙女の誘拐と奪還」、「のん兵衛で肥満の仲間」は『宇宙軍団』だ。
語り手を偶発的な人工冬眠によって未来に送り込み、そのまま主人公にしたことで『宇宙軍団』と差別化を図れている工夫は評価したい。ただし主人公に魅力がないことがその工夫を打ち消しているのが惜しまれる。
なおISFDBによると"THE LEGION OF TIME"の単行本は何種類かあるうち、本作を併録したものが存在していたようだ。ハヤカワ・SF・シリーズ版『航時軍団』が本作を併録したのはそれを踏襲したものかもしれない。