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プロジェクト・サイラス・スミスBLOG

ホームページ「プロジェクト・サイラス・スミス」http://projcyrussmith.moto-nari.com/ のブログ部分です。メインのコンテンツ(翻訳したSF)自体はホームページ側にあります。ブログ側にはSFのレビューなどを投稿しています。 ※SF翻訳活動は、実用度の高い機械翻訳の台頭により意義を失ったと考えるため、2021年以降はほぼ休止しています(2021/4/14投稿を参照)。 ※ブログ内のエントリ間のハイパーリンクはまれに切れている場合がありえます。お手数ですが検索機能をご活用ください。

未来史を最初に書いたのはニール・R・ジョーンズであるという言説について

ある時Wikipedia日本語版の項目「未来史」を読んでいたら、若干腑に落ちない記述(*1)があった。「未来史を構築した最初の作家は一般にニール・R・ジョーンズと言われている」という記述である――そして前エントリ〔ポール・アンダースンの未来史シリーズは2つあった〕を書くに際して同項目を見直したら今もそう記述されている。

これが一体どういうことなのかと言うと、この項目は英語版からの翻訳であり、そのまたソースはマイク・アシュリーだと書いてある。

マイク・アシュリーがそう言うなら一理はあるのだろうが、やはりこの言説には疑問を覚える。要点は次の2つ。
(A)SFと言えば未来を舞台にするのは当たり前のことなので、未来史と呼べるような作品は、探せばより古いものがいくらでもあるのではないのか? アシュリーがニール・R・ジョーンズに特に着目する理由は何か?
(B)そもそも、ニール・R・ジョーンズのどの作品(作品群?)を未来史扱いしているのか?

さて、マイク・アシュリーの原典を参照するのは困難であるため、この疑問は長い間わたしの中で解消されずにいた。しかし今日、アンダースンの未来史の件で『SF百科図鑑』(ブライアン・アッシュ編、サンリオ、1978年)の未来史の章を読んでいたら、解消につながるかもしれない記述を見つけた。

この章では①ジャンルSF以前の作品群、②オラフ・ステープルドン、③ニール・R・ジョーンズ(ジェイムスン教授シリーズの『教授懐かしの4千万年前に戻るの巻』)、④ハインラインという流れでテーマが記述されていたのである。

なるほど、そういうことか。つまり
(A)おそらく英語圏のSF業界では『教授懐かしの4千万年前に戻るの巻』を重視する風潮が以前からある。
(B)『教授懐かしの4千万年前に戻るの巻』。
ということなのだろう。



*1 Wikipediaが不可謬だという信仰を持っているわけではありません。念のため。

2022/12/25追記:久しぶりに『教授なつかしの四千万年前に戻るの巻』を読んでいたら新たな気付きがありました。詳細はそのエントリ「ニール・R・ジョーンズ『放浪惑星骸骨の洞窟』感想」を参照。
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