第9巻『生きている首』の紹介です。
本稿は現物が手元にない状態で記憶に頼って書いているにも関わらず、実は本書自体については復習が疎かなので、多少の至らない点はご容赦ください。
【ビブリオグラフィ > 基本データ】
巻号:9
題名:生きている首
原書:Голова профессора Доуэля (1925?)
著者:アレクサンドル・ベリャーエフ (Алекса́ндр Рома́нович Беля́ев)
訳者:飯田規和
イラストレーター:武部本一郎
対象年齢:小学校高学年程度(※レビュアーによる見解)
【レビュアーによる評点 (S, A, B, C, D) 】
作品の内容や価値については周知の事実であるため評価は無用と考え、省略します。
【解説】
『ドウエル教授の首』の抄訳であり、SF少年文庫/SFロマン文庫には少ないクラシックの一つです。なおかつ、本文庫にはたった2冊しかない非英語圏海外SFの片割れであります(もう1冊はメレンチェフの『宇宙紀元ゼロ年』)。
単純計算での総文字数(206ページ * 45文字/行 * 16行/ページ = 148,320文字)を、創元版の総文字数(249ページ * 43文字/行 * 19行/ページ = 203,433文字)と比較するに、どうやら本書は完訳の七割程度の抄訳のようです。とは言え重要な要素の省略は特に無かったと記憶しています。構成以外にも特段の瑕疵は無かったように記憶しています。
武部本一郎のイラストは、リアルかつ緻密で迫力があり、作品の迫力を増すのに一役買っていたように記憶しています。
【当時の感想や事情】
初めて読んだのは本叢書中では中期くらいだったでしょうか。当時はあまりピンと来なかった記憶があります。原因は3つ。①小説を読み慣れていなかった当時のわたしにはそもそも小説として難しかったこと。②当時のわたしがSFと言えば宇宙冒険SFを好んでいたこと。③そして
クラシックSFを読むスキルが絶望的に不足していたことです。
その後「少年少女世界SF文学全集」で『両棲人間』を読んでベリャーエフを再認知し、そのまた後「SFこども図書館」で本作の幼年向け抄訳『合成人間ビルケ』を読んで、ようやく本作の面白さ、歴史的価値を再認知するに至りました。
しかしそのころは早川書房や創元SF文庫をぼつぼつ読み始めた時期でもあり、本作についてはあえてSFロマン文庫に戻るということなく早川や創元の完訳版に移行したため、SFロマン文庫の収録作品としては珍しく、本書自体についてはほとんど反復せずに今に至っています。
【ビブリオグラフィ > 異版情報】
SF少年文庫 → SFロマン文庫。
SF名作コレクションには未収録。